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2022年度 琉球大学二次試験 講評・対策

2022年2月25日に実施された2022年度 琉球大学二次試験を、沖ゼミの講師がどこよりも早く講評します。
また、来年の受験生に向けて今後の対策も提案します。

英語

【講評】

 昨年度と比較して、難易度はやや上がり、令和2年以前の難易度に戻った。
 第1問の長文は去年の1065語から824語に減少し、「再利用可能なエネルギー」をテーマとした大問で、共通テスト対策をしっかりとしてきた生徒なら、十分取り組める難易度になっていた。第2問の長文は去年の830語から922語に増加し、「音楽による認知力向上」をテーマとした大問で、琉球大学の過去問や類題を用いて対策した生徒は動揺しなかっただろう。第3問の会話文の語数は去年の426語から511語に増加し、形式は去年と同様に、本文中の英単語を補う記述問題と適文補充問題からなる。難易度にも形式にも変化はなかった。第4問は、データを参考にしながら「やりたい仕事の有無」をテーマとした英作文の問題で、定期的にデータの傾向やその原因について英作文を書いてきた生徒は難なく書けただろう。

【今後の対策】

 共通テストと琉球大学の前期入試の配点比率は学部によって異なるが、基本的にどの学部でも共通テストの点数が重視される。そのため、琉球大学に合格したい生徒は、安定して共通テストで7割以上の点数をとることができる力が必要とされる。沖ゼミの充実した2次試験の対策で、長文へのアプローチや英作文の書き方の演習を重ねて練習できるので、その前に基本的な単語力や英文を精読する力を積極的に身につけるべきだ。その対策としては、学校の教科書に記載されている単語を全て習得し、教科書の本文を精読できるように、音読や英文の分析を徹底する必要がある。勉強法の詳細に関しては、沖ゼミの英語科講師といますぐ相談を!

国語

【講評】

 現代文は過去三年と同型式で、第一問が、児童文学に分類されるような物語文、第二問が、「言語」に関する見解・想いを論述する形式の文章であった。ただ、第一問目の文章量が例年よりも多かった。定番の漢字の読み書き、文学史の知識問題や、筆者の論旨をまとめた上で「それに対するあなたの考えを二五〇字程度で述べなさい」という出題も登場した。第三問の古文は「あけてくやしき」という和歌表現が成立した経緯について設題で、昔話「浦島太郎」について知っていれば容易な問題。基本知識(文法、単語、和歌の修辞法)などが多かった。第四問「漢文」は昨年同様沖縄関連の出題。返り点を答えるなど、漢文の基本知識があれば容易な内容だった。

【今後の対策】

 基本的な知識については確実に解答できる力が必要である。漢字・言葉の問題だけでなく、文法、句法、文学史などに至るまでが必要である。知識は日頃からの訓練になるため、日々怠ることなく学習を進める必要がある。また、読解に関しては本質的な読解力を養うことは前提として、それに対する自らの考えをまとめるという発信する力も要求される。日頃から、批判的思考を鍛えるよう、様々な分野の話題に自分なりの意見を持ち、表現できるようにしておくことが肝要である。ただし、特別に何かをする必要はなく、共通テストの学習をしながら、そこで扱った問題に対して知識を確認し、思考し、表現するという学習をしていければ養うことができる。

数学(甲)

【講評】

 よく出題される数学Ⅲの微積分分野、数学Aの確率分野に加え、数B数列、空間ベクトルからも出題があった。大問数は4問で例年と変わらず、小問数11問で昨年より1問減少。難易度はやや難化。
 大問1は数Ⅲの微積分分野からの典型的な出題であり、高得点を狙いたい。大問2は数B数列からの出題で、問1から数学的帰納法の証明を求められる。問2,3は類題を解いたことがあるかどうかで出来不出来が分かれそう。
 大問3は空間図形と数Ⅲの微分計算。公式に従って計算すれば答えが得られるが、計算はやや煩雑。大問4は例年の確率に代わって場合の数の出題。問2で文字を用いて一般化すること考えつくかどうか。計算も桁が大きく面倒である。

【今後の対策】

 数学Ⅲからの出題が多く、また数A確率もほぼ毎年出題されている。そのほかに数Bの数列とベクトルの出題も多いので、これらの分野を重点的に勉強すること。
 教科書の範囲で十分解ける問題もあるが、高得点を狙うなら標準レベルの典型的な入試問題を何度も繰り返し解いておくとよい。他の国公立大学入試で出題された問題の類問が出されることも多く、琉大の過去問に限らず他の大学の過去問で、良問と呼ばれる問題にあたっておくと良いだろう。
 典型的な問題でも計算量が多く煩雑になる傾向があるため、普段の勉強でも計算を飛ばしたりせず、手を使って計算することを習慣づけておくとよい。

数学(乙)

【講評】

 例年通り数Ⅱと、数Aの整数分野からの出題であった。大問数は2問で昨年と変わらず、小問数は5問で昨年より1問減少、難易度は昨年よりやや難化した。
 大問1は昨年度と同じく小問集合で3題出題された。問1は三角関数の計算問題だが、角の範囲まで考えているかどうかで点数が分かれそう。問2はn進法および対数の計算で、自分で不等式を考えて正しく議論できるかが難しい。問3は多項式の割り算の問題で、計算すれば答えが出る。
 大問2は例年通り数Ⅱの微積分からの出題。曲線の接線を求め、囲まれた部分の面積を求める頻出問題で、計算量も標準的。積分計算を工夫すると楽になる。
 例年通り、教科書の章末レベルの出題が多かった。

【今後の対策】

 多くの問題が数Ⅱから出題されるので、微積分分野を中心に数Ⅱの教科書を章末問題まで繰り返し解くとよい。また近年数Aの整数問題からも多く出題されているため、数Aの整数分野も要注意。他に数Bのベクトル分野や数列分野も解いておきたい。
 高得点を狙うなら計算して答を求める練習だけでなく、正しい記述解答の書き方や証明法についても勉強しておくこと。

物理

【講評】

 大問1の小問集合、大問2の力学は例年通りだが、大問3は電磁気と原子分野からの出題であった。
 大問1は全分野からまんべんなく出題された。大問2Aは放物運動と衝突の問題。設定をしっかり読み取り立式できたかがポイント。大問2Bは鉛直面内の円運動。円運動の方程式とエネルギー保存則がしっかり立てられたかどうか。大問3Aは電磁気分野の総合問題。比較的解きやすかったのではなかろうか。大問3Bは原子分野の考察問題。仮説を立て検証していく問題は新傾向である。
 基本から標準レベルの問題構成であったが設定がややこしい問題も見られた。

【今後の対策】

 教科書に載っている物理量の定義をしっかり自分の言葉で説明できるかどうかが、物理の問題の現象を理解するうえでとても大切です。また、公式を丸暗記するのではなく、公式の導出過程も教科書で確認しましょう。
 沖ゼミの授業で扱う問題はしっかり復習して確実に解けるようすること。教科書レベルをマスターして、思考力を要する問題まで演習したい。

化学

【講評】

 難易度は前年より易化。大問1から大問3は医学部医学科との共通問題なのも例年通りであり、医学科受験者では高得点が必須で差のつきにくい問題だろう。
 大問1は酸化還元反応からの出題。大問2は混合気体の典型問題から出題、内容は教科書レベルだが琉大での出題は近年なかった分野だ。大問3は有機化学からエステルの構造決定問題。大問4は琉大では定番の熱化学がエネルギー図を用いて出題された。大問5は溶解がテーマの小問集合。水和や極性、固体の溶解度、コロイドについての基本的な出題だ。大問6は芳香族の分離問題が出題された。

【今後の対策】

 いずれも基本的な出題であり、普段から教科書や問題集での演習と定着が問われる問題となっている。
 問題は平易なものが多く、他県の2次試験問題ほど難易度は高くない。そのため、2次試験を扱う問題集の中でも基本的な問題を中心に解いていくこと。また、用語や実験器具名の問題は頻出のため、それらで失点しないことが重要になる。
 理論化学については、化学平衡、熱化学、酸化還元反応、酸と塩基などの頻出分野は苦手をなくしておきたいところ。有機化学は構造式、反応式がきちんと書けるようにすることが大事。構造決定問題も頻出である。 今年は出題されていないが、無機化学、高分子化合物からの出題も例年あるため、しっかり知識の確認をしておきたい。

生物

【講評】

 全体的に去年度より難化した。各問に字数制限の論述問題が多く含まれ、去年度と同様、論述問題で差がつく問題内容であった。
 大問1は細胞小器官や光リン酸化に関する標準的な良い問題であった。大問2は沖縄の北部を題材とする問題。問3のシグマの計算問題は数学的要素もあり、難易度が高い問題であった。問7の生態ピラミッドの200字の論述問題も用語指定はあるものの苦労した生徒は多かっただろう。大問3の問7の絶滅の問題は近親交配の悪影響と遺伝的多様性の低下による悪影響をそれぞれ論述する。大問4はDNAからの分野。鎌状赤血球症、PCR法や電気泳動を扱った問題。標準的であり良問であった。

【今後の対策】

 琉大の問題ではやはり論述問題対策が重要となる。琉大の場合は知識の論述問題が多く、論述を書くには正しい知識が必要となる。字数も多くて200字の論述問題が出題されるので、100字から200字ぐらいの論述を意識して、多くの問題に取り込むことが対策となる。また、リード文の穴埋め問題や一問一答の問題は基本問題なので確実に得点しておきたい。内容は教科書レベルなので、比較的容易な問題集をこなしていき、必要な生物用語などもしっかり暗記していきたい。とにかく、教科書レベルの基本事項をしっかり理解して、覚えることを意識すること。

地学

【講評】

 大問数は昨年までと同じ4題である。
 大問1は地球環境と生物変遷からの出題で空欄補充問題と論述問題であった。大問2はプレートテクトニクスと地震分野からの出題で地球の内部構造を問う問題で空欄補充問題、論述問題であった。大問3は気象海洋分野からの出題で、空欄補充問題、論述問題で中緯度の気象に関する論述が受験生には難しく感じただろう。大問4は岩石・火山分野からの出題で空欄補充問題、選択問題、記述問題であった。大問4は教科書や資料集等を日頃から活用し基礎的な学習をしっかりしておけば解きやすい内容であった。論述問題対策としては、先生からの添削を受け、手を動かしてしっかりとした対策が必要。

【今後の対策】

今後の対策としては、
(1)自然科学の原理や原則を知っている。
(2)身近な事象のイメージをもつ。
(3)地学の現象・用語を知っている。
(4)用語の意味がわかる。
(5)教科書に載ってる用語とその意味を正確に答える。
を実践すること。

小論文

人文社会学部

人間社会学科

 あなたの考える「社会を変える」取り組みについて問う。法律・状況(状態)・慣習・意識の変化が「社会を変える」手段として提示され、そのいずれかを用いてどのような社会の現実を変えたいのかを具体的に論述することが求められている。1000~1200字以内で答える。

琉球アジア文化学科

 福間良明著『「勤労青年」の教養文化史』(2020年 岩波書店刊行)を題材とし、大衆社会における教養文化の戦後史を踏まえつつ「現代における教養」についての論述を求める。
 問一で本文内容の読解力を問い、問二で受験生の考えを問う例年通りの出題であった。

国際地域創造学部

国際地域創造学科

 「動物の福祉(アニマル・ウェルフェア)」をテーマに受験生の考えを問う。問1で畜産業の「動物の福祉」への対応が社会に与える影響について考察させ、問2でテーマに対する「あなたの考え」を問う。制限字数は例年通り、それぞれ500字以上600字以内であった。

教育学部

小学校教育コース・学校教育専攻

 教育実践の場でどのように「子どもを理解する」べきかを問う問題。問1・2では、傍線部の説明を50字以上、70字以内で、問3の制限字数は200字以上300字以内、問4は、800字以上1000字以内ということで、上記三問を早めに終わらせておかないと厳しいと思われる。

中学校教育コース・社会科教育専修

 二つの〈資料文〉を読み、身近ながら日頃意識していない社会的枠組みについて問うている。問1では〈資料1〉の要約と校長の考えを、問2は〈資料2〉を踏まえて「法律」の存在意義についてで、問3は「憲法改正」についての筆者の見解を説明するものとなっている。

中学校教育コース・生活科学教育専攻

 家庭科の課題型学習手段の(See-Plan-Do-See)を用いて、職業選択の視点から大学の在学中・卒業後のライフステージにおいてのどのような目標を立て(See)、生活課題改善への行動計画(Plan)をしていくかを600~800字以内で述べさせる。

今後の対策

 それぞれの進路に関係する問題や課題についての学生の理解と考えを問う問題が中心となっており、文章を頼りに自分の思考や価値観を表現していくことが求められている。ただその際に表面的な解答よりも、今後の大学生になってからの姿勢なども表現してほしいという意図があるように思われる。対策としては、まず、基本的な読解力や要約力を養う必要がある。これに関しては、日頃学習する現代文の問題などを利用しながら、作者の意図を正しく読み取り、それを要約していく練習をしていくといいだろう。また、進路ごとの時事問題やそのテーマの課題などを新聞やニュースなどから確認をし、自分なりのまとめノートなどを作っていくというのも方法である。