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これから共通テストを受ける未来の受験生へのアドバイス
2025年1月18日(土)、19日(日)に実施された令和7年度(2025年度) 大学入学共通テストをふまえて、沖ゼミ講師が来年度以降の受験生へ沖ゼミの講師陣が共通テストの講評とアドバイスをお届けします。これからの勉強に活かして志望校合格を目指しましょう。
英語(リーディング)
例年と比較して、イラストや図表が関係する設問が多かった。ひとつひとつの英文を正確に読む力に加え、英文で書かれている内容をイメージできる力も必要となる。また、昨年度より総語数が減っているとはいえ、短時間で多くの情報を処理する力が必要であるのは変わらないため、各パラグラフの内容をすばやく把握する練習も普段から心掛けて欲しい。
英語(リスニング)
第6問Bに登場する話者が4人から3人に減ったことで「誰の発言か」を把握しやすくなった。リスニングの対策としては、毎日時間を決めて、英語を聴き、英語の発音に慣れることが最初のステップとして大切である。聞けなかった部分はスクリプトを確認し、音声を聴きながら自分でも発音すると上達が早い。また、音を聞けても単語が分からなかったり、選択肢の意味が分からなければ正答できないので、語彙力の強化も合わせて進めていきたい。
国語
大問数5題、試験時間90分と変更され、第3問「実用的文章」が新たに加わった新過程初年度であったが、昨年度よりも易化した。ただし、より効率的な読解を心掛け、ある程度の演習量をこなしていなければ、時間内に解き切ることは難しかっただろう。
すぐに受験学年になる高2生は高3に進級するまでの間に「共テ」出題範囲の基礎知識の定着が必須である。その上で、実戦レベルの文章に多く触れる機会をもち、沖ゼミの講座で伝えられる読解法を参照し、どう読めば効率的に正解にたどり着けるか何度も試行錯誤を繰り返してもらいたい。
高1生は焦ることなく徹底した基礎固めをお勧めする。高校教科書などに出てくる語句の意味を丁寧に理解し、共テ第1問「論理的文章」や第4問「古文」の内容を的確に理解するための社会常識や作品の成立背景などを沖ゼミの講座を通じて学んでいって欲しい。
数学ⅠA
新課程初めての共通テストであったが難易度は前年度と比べて「やや易化」であった。 内容としては誘導に従って解いていく問題が多く、問題の意図やヒントを汲み取る力が必要だった。 第4問「場合の数と確率」では初めの三問の値が後の正誤に関わってきた。ルールがやや独特だったためここで取れたか取れないかで差が出たと思われる。 単なる公式暗記などでなく、文を読む力が必要なことは旧課程と変化しないところだった。
数学ⅡBC
第1問、第5問に、対話形式の問題、第2問では、日常生活における数学の事象を題材にし、常用対数表を利用する問題が出題された。「平面上の曲線と複素数平面」からは、「複素数平面」のみ出題された。 誘導も丁寧で、教科書の例題、練習問題をしっかり勉強していれば対応できる問題も多かった。また、基本的な知識を使い思考力を問う問題も出題されており、表面上の知識ではなく、教科書の内容を本質的に理解することが大切である。
歴史総合,世界史探究
資料を読解しつつ知識を基に考えないと解答にたどり着けないような問題であった。例年通り資料、グラフ、地図などを用いた思考力と考察を問う問題が設問の大半を占めた。解答を導くためには細かい知識が必要なわけではなく、基本的な知識のみで解答することができた。
歴史総合,日本史探究
政治・社会経済・対外関係・文化とバランスよく出題されていた。従来は社会経済、文化史からの出題が目立ったが、今回は対外関係史の割合が増加した。図の説明と資料からの考察を組み合わせる問題がほとんどであり、通史・テーマ史の複合問題な対策が必要。
地理総合,地理探究
自然環境・生活文化・地球的課題などの単元が融合された問題が出題された。図表・写真や短文などを組み合わせた複合的な図版をどのように読み取り正解へ結びつけるかが課題となった。内容は過去問と同レベルだが、形式が面倒な組み合わせになっており注意が必要。
公共,政治・経済
昨年に比べ易化。全体的には、前年以上に、単に知識を使うだけでは解答するのが難しい問題が多くなっている。全体的な知識がある上で、思考力、判断力を問われる問題になっている。長文の文章や見慣れないグラフに対して粘り強く考え、短時間で解答しなければならない。
公共,倫理
昨年並みの難易度。思想と具体例を結びつける問題や論理的思考力が求められる問題が出題されており、全体を通した思想の理解は大事。また、多様な資料を用いて考察する問題も多く、時間がとられる。心理学の認知の問題が出題されたが、知識というより思考力を問われる問題だった。
地理総合,歴史総合,公共
【地理総合】
従来の共通テストと比べて問題文が長く、難解な表現があちこちに見られた。そのため、問題文や資料から、それぞれの図表が何を示しているのか、また、何が問われているのかを限られた時間内で的確に読み取る訓練が必要。今回は、地理的思考力に加え、情報処理能力を重視する傾向にある。
【歴史総合】
標準的なレベルの歴史事項を問うものばかりであり、教科書を超えない基本レベル。日本と欧米・東アジア関係など様々な角度から歴史の大きな流れを把握できるように、普段から掘り下げた学習を継続して行う必要がある。
【公共】
標準的な難易度。第1問と第4問は「公共、倫理」、「公共、政治・経済」との共通問題。現代の社会問題を取り入れつつ、基本的な知識が問われている。政治経済および倫理の基本的な全体知識は必要な印象。多様な文章資料や統計を読み取る読解力、思考力、判断力を問う問題もあり、ここで差がつく形。
物理
【物理】
昨年と同様に、実験・考察の問題や、思考力を問う問題が多く見られた。
また,典型問題であっても問いが工夫されており,普段から単なる解法暗記に頼った学習をしていた受験生にとっては難しく感じたのではないか。物理の学習において、公式の成り立ちや現象の理解は非常に大事なので、普段から教科書を活用しながら理解を深め、演習を行っていてほしい。
【物理基礎】
典型問題や実験を題材とした設問がバランスよく出題されていた。
単なる解法暗記ではなく,物理現象に対するしっかりとした理解が要求される設問が多かった。教科書を利用し、公式の成り立ちや原理をしっかりと理解することが大切。
数値計算に関しても普段から意識的に取り組んでほしい。
化学
【化学】
問題文が長くなり、条件を段階的にとらえる問題や計算問題が増加した。例年より難易度は上がった。教科書の章末問題まで取り組み、学校の定期考査や模試の対策を中心として学習していくことが重要である。高得点を得るためには、理論分野の徹底理解が必須。高2生は今年の夏までに理論分野の理解を徹底し、秋から共テ・二次対策などを通してアウトプットに努めたい。高1生は春までに、化学基礎の総復習に取り組んでおきたい。
【化学基礎】
計算結果を直接マークする問題が新たに出題されたが、難易度は平年並み。標準レベルの問題が解ければ、高得点が得られる。化学計算の基礎は確実に解けるように準備しておきたい。高2生は6月までに基本問題を徹底し、11月までは授業を通じて標準問題の徹底に努めていきたい。高1生は学校の定期考査や模試の対策を中心として学習していくことが重要である。
生物
【生物】
実験考察を中心としてデータの処理の精度・速度が求められる出題内容で難易度は平年並み。知識問題はなるべく時間をかけずに考察の時間に充てるために中学校理科の生物範囲・生物基礎・生物の教科書で言葉の意味を理解し、対照実験を意識してまずは学校で配られている問題集の考察問題に取り組んでほしい。
【生物基礎】
全分野からバランスよく出題されており、半分は知識問題、半分は計算、資料読み取り、考察問題であった。教科書をまんべんなく復習し、正確で深い理解をすることが求められる。また、受験生に実験設計を求める問題もあり、そういった問題になれる必要があるだろう。
地学
【地学】
今年は昨年より考察問題が減り、知識問題が増えたことでより細かな知識が求められるようになった。複雑な計算を要する問題はなかったものの、考察問題の中には地学現象に対する詳細な知識を必要とするものもあり、題意を正確に読み取る力も試されている。高得点をとるためには“基本的な知識”や“図表を読み取る力”はもちろん、地学現象に対する深い理解も必要となる。教科書や参考書の内容を中心として、基本的な図表の意味まできちんと理解しておくべきだろう。
【地学基礎】
全体を通して基本的な問題が主であったが、6択以上の問題が大幅に増加し、例年より難易度は上がった。高3から始めても沖ゼミの授業やテキストを中心に基本の知識や考え方を確実に理解することで高得点が得られるだろう。
情報Ⅰ
今年度から共通テストに加わった情報Ⅰだが、初年度なので受験生がどのくらい取れるか様子見の出題のようだった。結果、試行問題と同様のレベル設定であった。きちんと対策した生徒は高得点が期待できるだろう。
問題については知識問題よりも最近のデジタル知識IPv6を題材とした出題があったり、組み合わせなどの数学や思考力が必要な問題も見られた。プログラミングの問題に関しては全国模試の問題より取り組みやすかったようだ。
今年度の受験生の正答率・得点率を見ながら来年度以降の問題を作成することを考えると、来年度に難化することは十分考えられる。普段から情報Ⅰの内容を忘れないよう復習の習慣をつけておこう。
習ったことを思い出すためにも高1・高2生はぜひ今回の共通テストに取り組んでほしい。習っていればすぐ取り組める問題がほとんどで、どれだけ覚えているかのチェックにも役立つ。その上で、現高2生は受験勉強が忙しくなる前に、情報Ⅰで高得点をとれるようになってほしい。情報AIドリル(for学習塾)は予想問題などが充実しており、対策がしやすくなるので早めに受講することをおすすめする。
