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令和5年度(2023年) 琉球大学入学試験 解答・講評と対策

2023年2月25日(土)に実施された令和5年度(2023年度)琉球大学入学試験を、沖ゼミの講師がどこよりも早く解答・講評します。
また、来年の受験生に向けて今後の対策も提案します。

英語

【解答】

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【講評】

 昨年度と比較して全体的に易化し、長文問題では、記述形式の設問がなくなるなど、出題にやや変化が見られた。
 第1問の長文は、昨年度の824語とほぼ同じ826語で、南アフリカを舞台にした物語文であり、空所補充、内容一致の設問に、本文中の描写の理解を問う設問が新たに加わった。問4の数値を入れる問題は、ケアレスミスに注意が必要である。第2問の長文は昨年度の922語から895語に減少し「垂直農法」をテーマにした大問だった。第1問、第2問ともに、読み易い英文で、選択肢も平易なものが多かった。第3問の対話文完成問題は昨年度の511語から391語に減少、形式は昨年度と同様に、本文中の英単語を補う記述問題と適文補充問題からなるが、例年に比べて基本的な問題が目立った。第4問はグラフを参考にしながら「大学生の朝食摂取状況」について述べる英作文の問題で、昨年度と同様の形式、難易度だった。

【今後の対策】

 長文読解問題では、共通テストと同程度の難易度の問題が目立ち、共通テスト対策をしっかりと行うことが琉球大学合格への近道である。英文を読む際に情景をイメージしながら読むこと、正解の根拠を丁寧に確認することを日頃から心掛けて欲しい。空所補充問題は、基本的な語彙力や文法の知識を問う問題が目立つため、教科書や沖ゼミのテキスト等、普段使用している教材を何度も繰り返し読み、知識を定着させることが大切である。今年度のように第1問から第3問が易化した場合、得点の差がつくのは、第4問の英作文である。英作文の対策としては、まず基本例文をミスなく書けるようにすることが必須だが、実際に書いた英作文を添削指導してもらい、より良い表現を学ぶことで他の受験生と差をつけることができるので、積極的に添削指導を受けてもらいたい。

国語

【解答】

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【講評】

 大問1は朽木祥の原爆児童文学。被爆者の思いを読みつつ、「あなたの解釈・考え」を問う問題が出た。大問2は評論文。江戸の学び、知の身体化とデジタルメディアによる知の外部化を対比的に読み取る内容だった。大問1同様、「あなたの考え」を問う問題も出題された。大問3は古文で、近世の琉球で編纂された文章からの出題。基本文法、現代語訳だけではなく、和歌の知識、本文の趣旨も問われた。大問4は漢文で、江戸時代の人物、松平信綱に関する文章。書き下し文、現代語訳など標準的な内容だった。現代文で「あなたの考え」を問う問題が出ているように、受験生には語彙力、読解力だけではなく、文章内容を当事者として考える力が要請される。

【今後の対策】

 現代文分野では、例年通り「漢字の読み書き」が問われ、さらに受験生世代では使われないと思われる慣用語句の知識や四字熟語の意味が問われており、日頃から自身の「日本語」語彙を意識的に広げていくことが必要である。琉大「国語」は記述の難易度が高いだけに、受験生は基本問題を大切にすべきである。読解に関しては、傍線部における主人公の心情把握や状況説明、評論的語句の内容理解が求められる他に、キーフレーズに対する「あなたの解釈・考え」も求められていて、表面的な読解に止まらず、作品世界を深く理解する能力が必要となる。共通テスト対策の時点で、選択肢の答えに頼らずに自分自身の言葉で内容を整理する訓練を重ねるべきであろう。
 古典分野は、例年とほぼ変わらない難易度で、慣用的な語句の用法、文法事項の確認、基本単語の知識、漢文句法の基本をしっかり押さえておけば、決して苦労する問題ではなかった。よって、共通テスト対策の中で身につけるべき知識をどんな文章でも、どんな出題のされかたをしても確実に応用できる状態に仕上げておくことが大切である。読解に関しては、日頃から古文・漢文の世界観というものを理解した上で、内容を理解する訓練を重ねるべきだろう。

数学(甲)

【解答】

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【講評】

 頻出である数Ⅲの微分積分、数Aの確率に加え、昨年に続き数Bの空間ベクトルからの出題があった。
 大問数は4問で例年と変わらず、小問数9問で昨年より2問減少し、難易度は全体的にやや易化した。
 大問1は微分積分からの出題で基本的な問題であり、問2は相加相乗平均の大小関係を利用すると計算は楽になる。大問2も微分積分からの出題で、絶対値を含む関数のため場合分けが必要である。原点に関する対称性を利用すると計算は楽になる。大問3は空間ベクトルからの出題で、場合分けが必要である。問2ではt=とt=1のときの値を比べることがポイントである。大問4は確率からの出題で、問2の最大値は比を利用して求める問題である。

【今後の対策】

 数学Ⅲ微積、数A確率はほぼ毎年出題されている。その他数B数列・ベクトルの出題も多いので、これらの分野を重点的に勉強すること。
 教科書レベルのもので十分解ける問題もあるが、高得点を狙うなら標準レベルの典型的な入試問題を何度も繰り返し解いておくとよい。他の国公立大学入試で出題された問題の類問が出されることも多く、琉大の過去問に限らず他の大学の過去問で、良問と呼ばれる問題にあたっておくと良いだろう。
 典型的な問題でも計算量が多く煩雑になる傾向があるため、普段の勉強でも計算を飛ばしたりせず、しっかり計算することを習慣づけておくとよい。

数学(乙)

【解答】

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【講評】

 例年通り、微分積分と小問集合の出題。大問数は2問で昨年と同じ、小問数も5問で昨年と同じ、難易度は昨年よりやや難化。
 大問1は昨年度と同じく小問集合で、小問数は2問と昨年より1問減少。
 問1は3年連続となる整数分野からの出題。一次不定方程式の解を1つ求める問題で2019年にも出題。両辺を17で割り、ユークリッドの互除法で求められる。問2は正三角形の個数を数列を利用して数える問題。後半の正三角形の個数は3段ごとに考えることがポイント。
 大問2は例年通り数Ⅱの微分積分からの出題。三次関数のグラフと直線で囲まれた部分の面積と、その最小値を求める頻出問題で、計算量も標準的。
 例年通り、教科書章末レベルの出題が多かった。

【今後の対策】

 数Ⅱ・Bから出題が多く、微積分分野を中心に数Ⅱ・Bの教科書を章末問題まで繰り返し解くとよい。また近年数Aの整数問題からも多く出題されているため、数Aの整数分野も要注意。
 高得点を狙うなら計算して答を求める練習だけでなく、正しい記述解答の書き方や証明法についても勉強しておくとよい。

物理

【解答】

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※02/27 大問1の⑱の解答において誤りがございました。お詫びして訂正いたします。

【講評】

 大問1は小問集合、大問2は力学、大問3は電磁気からの出題。
 大問1は全分野からの基本的な問題であった。
 大問2はエネルギーと運動量に関する問題。与えられた設定をしっかり把握し、立式できたかどうかが大切。完答するためには計算力も必要であった。
 大問3Aは電気回路の問題。キルヒホッフの法則を丁寧に適応できたかどうかがポイント。大問3Bは電磁誘導の基本問題。大問3Bは完答したい。
 全体的に標準レベルの問題であったが、設定がややこしく、計算力が問われた問題もあった。設問の文字指定にも注意したい。教科書レベルをしっかりマスターし、思考力を要する問題や計算力を要する問題まで演習したい。

【今後の対策】

 物理量の定義はしっかり自分の言葉で説明できるようにすること。また、公式は丸暗記するのではなく、公式の導出過程も教科書等で確認しましょう。
 沖ゼミの授業で扱う問題はしっかり復習して確実に解けるようすること。教科書レベルをしっかりマスターし、思考力を要する問題や計算力を要する問題まで演習したい。

化学

【解答】

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【講評】

 大問1から大問3は例年医学部医学科との共通問題でやや難化した。
 大問1は化学平衡と熱化学から、大問2は中和滴定と電離平衡から、大問3は天然高分子化合物から出題。大問3は見慣れない化合物だが落ち着いて読めば解答できる。大問4は物質の構成粒子から出題。大問5は鉄と合金に関する問題。大問6はアルコールとエステルの構造決定問題から出題された。大問4から大問6は昨年同様の難易度であった。全体にバランスの取れた難易度になっているのではないだろうか。
 今後の対策として、化学平衡、熱化学、有機化合物の構造決定、高分子化合物などが定番である。普段からこれらを中心に問題集などで演習をしておきたい。

【今後の対策】

 問題は平易なものが多く、他県の二次試験問題ほど難易度は高くない。そのため、二次試験を扱う問題集の中でも基本的な問題を中心に解いていくこと。また、用語や実験器具名の問題は頻出のため、それらで失点しないことが重要になる。
 理論化学については、化学平衡、熱化学、酸化還元反応、酸と塩基などの頻出分野は苦手をなくしておきたいところ。
 有機化学は構造式、反応式がきちんと書けるようにすることが大事。構造決定問題も頻出である。
 無機化学、高分子化合物からの出題は例年あり、どの内容が出題されてもおかしくないため、確実な知識の確認をしておきたい。学校での授業の理解と復習、問題演習をしっかり行おう

生物

【解答】

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【講評】

 全体的に教科書に基づいた問題が多く標準的な内容であった。
 ただし、記述問題が全体として少なく、代わりに計算過程を詳細に書く必要があり、時間がかかった受験生もいるかと思う。
 大問1は免疫に関する問題であった。問5と問6についてはやや計算が複雑であった。
 大問2は光合成について葉緑体の構造についての問題と、遺伝子分野に関する問題であった。問6は花粉の飛散をいかにして防ぐかという考えが重要である。
 大問3はサンゴを軸にして生態系や呼吸速度について考える問題であった。
 大問4は進化と系統についての問題で3ドメイン説や人類の系統についての問題であった。
 問3の記述は生物に共通であるrRNAについての説明がポイントであった。

【今後の対策】

 今年度の生物の問題は、全体として、教科書レベルの内容で、標準的なレベルの問題だといえます。論述問題も少なく、解きやすかったと思います。基礎的な内容をしっかり身に着けている受験生は、高得点を取れた問題だったと思います。よって、教科書レベルの基本的な内容をしっかりおさえておくことが、最重要課題だと言えます。また、計算問題はしっかり問題を読まなければ間違えてしまいますが、標準レベルの問題が出題されました。標準レベルの問題集に取り組み、何度も繰り返し解き、解法を身に付ければ、十分対応できると思います。

地学

【解答】

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【講評】

 大問数は昨年までと同じ4題である。
 大問1は気象分野からの出題で、気圧配置や温帯低気圧に関する論述問題と選択問題であった。大問2は地球物理分野からの出題。プレートの動きや大陸移動説に関する問題で、空欄補充、論述問題であった。プレートの名前を答える問題もあり、細かい内容も確認しておく必要がある。
 大問3は地層分野からの出題。地質断面図の作成、地史に関する論述問題や計算問題があり、難しく感じた人もいただろう。大問4は宇宙分野からの出題で空欄補充や計算問題があり、計算過程も記述する内容があった。
 普段から計算過程も書き対応しておく必要がある。

【今後の対策】

 大問数は昨年までと同じ4題である。大問1は気象分野からの出題で気圧配置や温帯低気圧に関する問題で論述問題、選択問題であった。大問2は地球物理分野からの出題でプレートの動きや大陸移動説に関する問題で、空欄補充、論述問題であった。プレートの名前を答える問題もあり細かい内容も確認しておく必要がある。大問3は地球の環境と歴史分野からの出題で、地質断面図の作成、地史に関する論述問題や計算問題で地質断面図作成は慣れてない受験生には難しく感じただろう。大問4は宇宙分野からの出題で空欄補充や計算問題があり、計算過程も記述する内容があった。普段から計算過程も書き対応しておく必要がある。基礎的な学習をしっかりしていれば得点できる空所補充問題や選択問題に加えて考察力・応用力・理解度を問う論述・計算・作図問題がバランスよく出題されている。今後の対策としては、
 ①自然科学の原理や原則を知っている。
 ②身近な事象のイメージをもつ。
 ③地学の現象・用語を知っている。
 ④地学用語の意味がわかる。
 ⑤教科書に載っている用語とその意味を正確に答える。
 を実践すること。

小論文

【講評】

人文社会学部 人間社会学科

 「健康格差」は個人の問題か、社会の問題なのかを考えさせるというもの。特に「健康」状態と「自己責任」との関わりについて考えさせる内容で、両極端の意見の応酬を読みながら、どの立場で論述するのかがポイント。字数制限は1000字以上、1200字以内で例年通り。

人文社会学部 琉球アジア文化学科

 環世界を規定する言語に関しての文章を読んで答える問題。出題は例年通りの2題で、傍線部の論旨とそれを踏まえて「環世界」と「シンクロニシティ」を具体例を用いて考えさせる問題。日頃から抽象的テーマなどを自力で具体化する訓練をすることが肝要になる。

国際地域創造学部 国際地域創造学科(昼間主・夜間主コース) 論理的思考

 気候変動がもたらす「グリーン・ジェントリフィケーション」と呼ばれる現象がテーマ。文章量は2ページ程度で、例年に比べると短い。設問は2つあり、問1は、テーマ語の600字以内の要約。問2は受験生には想像しづらい内容を600字以内で論述するというもの。

教育学部 小学校教育コース 学校教育専攻

 コンテクストの理解をふまえた上でリーダーシップを考える問題。出題は昨年同様の計4問で文字数は合計1400字程度。教育実践を念頭にコンテクストを踏まえたリーダーシップを考えさせる。小学校教員としての視点や立場であらゆる問題を考える訓練が有効になる。

教育学部 中学校教育コース 社会科教育専修

 戦後日本の教育格差に関する文章で、昨年同様問題は3問で合計1800字。教育格差の現状や教育制度の抱えるSESの問題や教職課程の今後に関して、筆者の教育格差問題をまとめさせ、受験生の意見を書かせる。長文に耐える読解力と要約力をつけておく必要がある。

教育学部 中学校教育コース 生活科学教育専攻

 ジェンダーギャップに関する資料から日本の問題や原因を考えた上で、家庭科の授業での取り組み方を考えさせる問題。文字数は2題で計800字以内だが、過去2年と違い図表の読み取り型になった。今後はテーマだけでなく図表読解も合わせた対策をする必要がある。

【今後の対策】

 現代文分野では、例年通り「漢字の読み書き」が問われ、さらに受験生世代では使われないと思われる慣用語句の知識や四字熟語の意味が問われており、日頃から自身の「日本語」語彙を意識的に広げていくことが必要である。琉大「国語」は記述の難易度が高いだけに、受験生は基本問題を大切にすべきである。読解に関しては、傍線部における主人公の心情把握や状況説明、評論的語句の内容理解が求められる他に、キーフレーズに対する「あなたの解釈・考え」も求められていて、表面的な読解に止まらず、作品世界を深く理解する能力が必要となる。共通テスト対策の時点で、選択肢の答えに頼らずに自分自身の言葉で内容を整理する訓練を重ねるべきであろう。
 古典分野は、例年とほぼ変わらない難易度で、慣用的な語句の用法、文法事項の確認、基本単語の知識、漢文句法の基本をしっかり押さえておけば、決して苦労する問題ではなかった。よって、共通テスト対策の中で身につけるべき知識をどんな文章でも、どんな出題のされかたをしても確実に応用できる状態に仕上げておくことが大切である。読解に関しては、日頃から古文・漢文の世界観というものを理解した上で、内容を理解する訓練を重ねるべきだろう。